中間ストーリー9

????????
正男たちが建物に潜り込んでいるころ…
ある組織の司令室らしきところでは張り詰めた空気が漂っていた。
部屋中にあるモニターの前に複数のオペレーターが座っており、
その一人は知的な雰囲気を醸している女性、セリアである。
さらにその隣で食い入るようにモニターを眺めている男性の名はアミオ
その後ろにいるのはこの組織のリーダーである、ヤマヴィルである。
アミオ
アミオ
ヤマヴィル!侵入者だ!
ヤマヴィル
ヤマヴィル
何だと…!?
セリア
セリア
しかも…侵入者は我々の車のナンバーを使用して
裏口から入ることに成功したようです。
ヤマヴィル
ヤマヴィル
やはり…そのナンバーは…?
セリア
セリア
はい、確かにそのナンバーは
半年前になくなった車と同じようです。
アミオ
アミオ
ということは…
半年前の事件の犯人が戻ってきたということか!?
このレジスタンスのアジトに!
半年前の事件…いまだに忘れられない‥‥‥。
レジスタンスの車1台爆弾
あとロープなんかが盗まれた事件だ…。
俺は今でも許さねえ!レジスタンスを裏切ったカルラを!
どうやら正男たちが潜り込んだこの場所は…
レジスタンスのアジトのようだ。
???????? → レジスタンスのアジト 司令室
ヤマヴィル
ヤマヴィル
落ち着け…アミオ。
まだ彼女が戻ってきたかどうかは分からないだろ。
それに…レジスタンスのメンバーなら
普通は裏口からは入ってこないだろうがな。
アミオ
アミオ
ということは…あいつは自分で盗んだ車を
他の誰かに盗まれたということか!?
セリア
セリア
…お取込み中のところを申し訳ありません。
先程の侵入者の件ですが…
無事に捕獲できたようです。
彼らの処遇について…どうなさいますか。
ヤマヴィル
ヤマヴィル
彼ら
ということは侵入者は複数いるのか?
セリア
セリア
はい…
捕獲されたのは赤い帽子をかぶった少年
変な帽子をかぶった男です。
カルラについては…現在報告がありません。
アミオ
アミオ
赤い帽子をかぶった少年変な帽子をかぶった男だと…?
一体何者なんだ‥‥‥!?
ヤマヴィル
ヤマヴィル
とりあえず…この司令室に連れて来い。
ロープで手を縛っておけば何もできまい。
セリア
セリア
了解しました。

数分後
レジスタンスメンバー
連れて参りました。
こいつらがどうやら侵入者みたいですぜ。
侵入者として捕獲されたのは…正男とキノヒオだった。
正男
正男
はーなーせーよー!
いてーじゃねーーーか!
キノヒオ
キノヒオ
正男さん…ここは無理に動かない方がいいですよ。
私たちの手はロープによってきつく縛られていますから。
正男たちが抵抗する心配が無いと見て、
ヤマヴィルとアミオは正男たちの前に近づいた。
正男
正男
おい!
さっさとこの縄をほどいてくれーよー!
アミオ
アミオ
ハッ!それは無理だぜ?
お前たちは俺たちのアジトに侵入した不届き者。
そんな奴の命令を聞くとでも思ったか?
正男
正男
くそお…ここはいったいどこなんだ?
外から見たら遺跡のようだったけど…
いざ中に入ってみたら超ハイテクって感じだったし!
ヤマヴィル
ヤマヴィル
…ここはレジスタンスのアジトだ。
アミオ
アミオ
ヤマヴィル…こいつらに教えていいのかよ!
ヤマヴィル
ヤマヴィル
見たところこいつらは…
クッバの家来ではなさそうだからな。
正男
正男
レジスタンスだと!
そっか…ならカルラの仲間なんだな!
安心したぜ…。
アミオ
アミオ
ハッ!
それはどうかな?
正男
正男
何!?
ヤマヴィル
ヤマヴィル
さて?今度はオレから質問させてもらおう。
お前たちは何者だ?
一体どうやってここに来られたんだ?
正男
正男
まあ…一応カルラの仲間なら教えとくか。
俺の名は正男。こっちはキノヒオだ。
俺達はビーチ姫を救うためにクッバ城に潜入したんだが…
アクガルというやつに仲間が2人やられちまって
それでカルラの車の自動操縦によってここに連れてこられたってわけさ…。
ヤマヴィル
ヤマヴィル
やられた2人の仲間だと!?
キノヒオ
キノヒオ
はい。とりあえず車に乗せてきましたので
今は車の中に置いてきましたが…。
レジスタンスメンバー
ヤマヴィル!
アジトの外で発見されたレジスタンスの車から
2人の意識不明者が発見された!
レジスタンスメンバーたちは意識のない浩二とカルラを
司令室に連れてきて静かに寝かせた。
ヤマヴィルは浩二とカルラを見ると
すぐにアクガルにやられたことが分かったようだ。
ヤマヴィル
ヤマヴィル
…やはりか。
アクガルに魂を抜かれたようだな。
正男
正男
こうなってしまったらやはり…
元には…戻らないのか?
ヤマヴィル
ヤマヴィル
いや。方法が無いわけではない。
シュタイン博士。説明を頼む。
???
???
はいさ~!
正男
正男
うおっ!
何だこのじいさんは!
???
???
ワシの名はシュタインじゃ。
皆からはシュタイン博士と呼ばれておる。
キノヒオ
キノヒオ
ではシュタイン博士。
浩二さんやカルラさんを元に戻す方法があるんですか!?
シュタイン博士
シュタイン博士
ないわけではない。
じゃがその方法は極めて困難じゃ。現時点ではな…。
正男
正男
その方法を教えてくれよ!
な!早く!
シュタイン博士
シュタイン博士
その方法とは…アクガルの持つツボを割ることじゃ。
シュタイン博士
シュタイン博士
アクガルは自身で集めた魂を
持っているツボに入れておるみたいじゃからのぉ。
悪趣味なヤツじゃ。
ヤマヴィル
ヤマヴィル
かつて…レジスタンスの中でも
アクガルに挑んだ奴がいたが…
今まで成功した者は一人もいない。
正男
正男
なにー!?
ヤマヴィル
ヤマヴィル
それだけ困難であるということだ。
アクガルの持つツボを割ることは…な。
正男
正男
でも…
それしか…
それしか方法が無いのなら…
どれだけ困難なことでも…
俺はその方法にかけてみるぜ!
キノヒオ
キノヒオ
私も正男さんの意見に賛成です!
ヤマヴィル
ヤマヴィル
…。
それがどんなに危険か承知の上でか?
正男
正男
おう!
キノヒオ
キノヒオ
はい!
ヤマヴィル
ヤマヴィル
フッ…お前たちの仲間を思う気持ち…しかと受け止めた。
オレはお前たちを信じてやってもいい。
とりあえず縄はほどいてやる。
ヤマヴィルは仲間のレジスタンスに2人の縄をほどくよう命じた。
シュタイン博士
シュタイン博士
フォッフォッフォ。
若造よ。良い心構えじゃ。
丁度ワシもあのツボの仕組みを
科学的に解明したいと思っておった頃じゃのう。
???
ちょいと待ちな!
???
???
待ちなよヤマヴィル、博士。
本当に彼らの言うことを信用していいのかい?
正男
正男
あー?
誰だお前は?
もしかしてお前もレジスタンスの一味か?
???
???
ああ。
当然僕もレジスタンスに所属している。
僕の名は「ロジャー」だ。
ヤマヴィル
ヤマヴィル
ロジャー…どういうつもりだ?
…少なくともオレはこいつらのことを
信用するに足ると判断したが。
ロジャー
ロジャー
ヤマヴィルはそこが甘いんだよね。
ロジャーは人差し指を立てて、左右に振りながらヤマヴィルに言い聞かせた。
ロジャー
ロジャー
…仮にもしもそいつらがクッバのスパイだったらどうする?
ヤマヴィル
ヤマヴィル
バカ言え。
こんな粗忽者(そこつもの)がスパイな訳が無かろう。
キノヒオ
キノヒオ
(今ヤマヴィルさんに少し馬鹿にされたような…。)
正男
正男
(しーっ。キノヒオ黙ってろ!)
ロジャー
ロジャー
ふっ…。まあ別に僕はあくまで可能性を示しただけだよ。
それじゃあ…早く2人の縄をほどいたらどうだい?
僕はまた仕事に戻るから。
そいういうと、ロジャーは司令室から出た。
正男
正男
なんなんだよ!あいつは?
随分とエラそうな奴だったなー!
ヤマヴィル
ヤマヴィル
ロジャーはレジスタンスの中でもかなりの実力者だ。
ヤツもアミオと同じようにお前たちを歓迎していない…
ということだろう。
キノヒオ
キノヒオ
やれやれ…レジスタンスの人って
こんな人ばかりなんでしょうかね…。
その後、正男とキノヒオはヤマヴィルから食料、寝床を与えられ、
今夜はレジスタンスのアジトで過ごすこととなった。
夜 レジスタンスのアジトの外
キノヒオ
キノヒオ
さて…そろそろ待ち合わせの時間ですね。
キノヒオ
キノヒオ
正男さん…こんな時間に話とはいったいなんですか?
正男
正男
キノヒオ…すまねえ!
キノヒオ
キノヒオ
えっ?
正男
正男
俺と一緒にクッバ城に向かったせいで
いろいろ迷惑かけちまって!
本当にすまん!
キノヒオ
キノヒオ
いいですよ。正男さん。
もし…私一人でクッバ城に向かった場合、
私はアクガルに今頃やられていたでしょうから。
逆に浩二さんとカルラさんを守り切れなかった不甲斐無さ…
私は一生肝に銘じておきます。
正男
正男
キノヒオ…!
正男はキノヒオを見て安心し、自然と笑顔になった。
しかし、安心していられる時間はそう長くはなかった。
キノヒオ
キノヒオ
ん?
静寂の中でキノヒオはかすかな異変を感じたようだ。
正男
正男
どうした…キノヒオ。
キノヒオ
キノヒオ
正男さん、誰かの声が聞こえますよ。
正男
正男
何っ!?本当だ!
キノヒオ
キノヒオ
ちょっと物陰に隠れて聞いてみましょう。

???
???
はい、確かに今レジスタンスのアジトにいるのは
正男で間違いありません。
彼とその仲間は再びクッバ城へ向かおうとしています。
正男
正男
(どうやら通信機で誰かと話してるみたいだな…)
その声は変声機で変えられているようで声から何者かを判断することは不可能だった。
???
???
では、引き続き、
レジスタンスと正男の監視を続行いたします。
また何か動きがあれば連絡いたしますので。
謎の人物は通信を切った。
キノヒオ
キノヒオ
(正男さん。もしかして例のスパイなんじゃあ…。)
正男
正男
(何いー!?
ならば今ここで倒しといたほうがいいんじゃんね!?)
キノヒオ
キノヒオ
(え。ちょっと。正男さん。危ないですよ…)
キノヒオが忠告した時にはすでに正男は声の主へと向かっていた。
正男
正男
おい!
???
???
正男
正男
お前…もしかしてクッバのスパイか!
???
???
君たち…もしかして今の通信を聞いていたのか…?
正男
正男
そ…それがどうした!
???
???
ふっ…。事実がどうであれ…
君たちには失神してもらうしかないかな…。
少しだけ痛い目見ることになるよ。
こうして、真夜中で戦いの火蓋は切られたのであった…